猫の家出、犬の家出(2)

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猫の家出、犬の家出(1)の続きです。

今回は、夫の実家の犬が家出した話。

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夫の実家では、ランという名前の白い中型犬を飼っていました。

ラブラドールレトリバーの血が混ざっている雑種で、とてもやさしくて大人しい犬でした。

ときどき、隣の公園に遊びに来ている犬に向かって吠えているのは聞いたことがあるのですが、人間に向かって吠えたのは一度も聞いたことがありません。

人間と一緒にいると、まるで自分を人間だと思っているんじゃないかな?と思うような立ち振る舞いする犬で、いつも大人しくじっとしているのです。

最初の家出

ランが7歳くらいのときでしょうか。

私が臨月で、いつ生まれてもおかしくないというくらいお腹が大きかったある日のことです

夫のお父さんが、「孫が生まれてきたら忙しくなるから、ランは東北の知り合いの家にでも連れていったほうがいいかもしれないな」と、そんなことする訳もないのに、つぶやいたのです。

ランはそんなときも、じっとしていて、半分眠ったからのような素振りをしていました。

次の日、夫のお父さんから、ランがいなくなったと電話が来ました。鎖をはずして家に入れようと思ったら走って逃げたというのです。

飼い始めたころはときどき脱走することもあったようですが、ここ5年以上、そんなことはありませんでした。

とりあえず警察に電話して見つかったら保護してほしいと伝えました。

すると、数時間後に、交番の前を歩いて通ったところを警察に保護されたということで電話が来ました。

私は、前日の話をランは聞いていて、家出したんじゃないかな?と思いました。

2度目の家出

そんなことがあったのも忘れた約2年後、再びランは家出しました。

今度は庭に鎖でつながれていたのを、首輪を無理やり外して脱走したらしいのです。そんなことは初めてです。よっぽど脱走したいという思いがあったかのような行動です。

また警察に電話して見つけたら保護してほしいとお願いしました。

今回はその日のうちには見つかりませんでした。

保健所に連れていかれれてしまったんじゃないか、とか、いろいろ心配が募ります。

実は、その前日、お父さんが、「孫といろんなところに遊びに行くようになったから忙しくて、ランの散歩が億劫になるな」と言っていたのです。

次の日の夕方、警察から電話が来ました。

夫の実家から500メートルほど離れた場所にあるお寿司屋さんに居たと。

お寿司屋さんのおかみさんが暖簾を出そうとしたところ、ランが座ってじっと見ていたらしいのです。

気のいいおかみさんはエサまで与えてくれたそうです。

2回目の家出のときに、私は確信しました。

ランは、聞いていないようで人間の話を良く聞いている。しかも、ちゃんと理解しているんだ。飼い主のお義父さんが、「ランの世話をする余裕なんてないな」なんていうから、ランは気を利かせて自分からいなくなろうとしたんじゃないかと。

このことがあって、「犬だって、ちゃんと人間の話の内容を聞いているんだから、ランの前でかわいそうなことはもう言わないでね」ということになりました。

ちなみに、ランが見つかったお寿司屋さんの隣にはもう一軒別のお寿司屋さんがあるのですが、ランが居たほうのお寿司屋さんのほうが高級店で人気店なのです。

ランもお寿司屋さんを選んで美味しい方に行ったんだね、と今では笑い話になっています。

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