2001年にオーストラリアでワンワールドの5大陸周遊世界一周航空券を購入したときのことについてです。
以前、「海外発券の世界一周航空券」という内容で書いたのですが、いざ発券しようとすると細かいルールや、乗り継ぎが難しい、空席が無いなど、いろいろ大変だったなと思い出しました。
既に13年前のことで、記憶がかなりあやふやなのですが、さらに記憶が劣化しないうちに記録しておこうと思います。
世界一周旅行の決断
まず、なぜ世界一周をしようと思ったか。
きっかけは、世界一周航空券が予想以上に安く購入できると知ったことだと思います。
世界一周は夢というより、「いつかは絶対やりたいこと」の一つでした。
長い学生生活の終わりに、就職の決まった会社が、4月からではなく、8月から入社する会社だったので、3月に大学院を修了してから(実際には2月中旬から自由な時間)働くまで5ヶ月もある、これはチャンス、今しかない!と思いました。
人生で5ヶ月以上も自由にできる時間があるなんて、この後定年までないかもしれない、と。
元々はその期間、オセアニアやヨーロッパをのんびり旅しようかと考えていました。
そんな時期に世界一周航空券の存在を知り、ワンワールドの世界一周航空券の場合、ずっと行きたかったイースター島にも行けて、しかも、オーストラリアで買うとあり得ないほど安い(オーストラリア発で20万円以下)と知ったのです。これは世界一周旅行しかない!と思いました。
当時、ソウル発やバンコク発の世界一周航空券が安いのはよく知られた話だったのですが、2001年当時、豪ドルは1ドル60円台。
自分で調べてみるとオーストラリア発もかなり安い、しかも、世界一周航空券の最初の訪問先を日本にすると、2月と3月はオーストラリア・ニュージーランドを旅行し、3月末の学校の修了式にも出席出来て、旅の準備も出来る。これは、最高です。
世界一周航空券はスターアライアンスかワンワールドか?
そう思い立ったのが2000年の春でした。旅の準備期間は十分あります。
まずは、ルートの検討です。
今ほどインターネットで様々な情報が得られる時代でなかったので、まず、主要な航空会社から時刻表を郵送してもらいました。
日本の支店にメールや電話をすると大抵無料で送ってくれました。
まずは、スターアライアンスの世界一周航空券にするか、ワンワールドの世界一周航空券にするか考えるために、行ってみたい場所リストを作りました。
せっかくなので、できるだけマイナーな場所・島に行きたい。出来るだけ友人・知人がいる場所には滞在したい。
そうして考えた行ってみたい場所リストの中で、アイスランドはスターアライアンスでしか行けないが、イースター島はワンワールドでしかいけない。
うーん、困りました。ただ、スターアライアンスの世界一周航空券はマイル数で値段が決まっているので、私の行きたい場所リストを大体同じように回ると、格段にワンワールドのほうが安いことがわかりました。
ということで、今回アイスランドは諦めることにして、イースター島に行けるワンワールドの世界一周航空券を購入することに決めました。
世界一周のルート検討
そうとなったら、あとはワンワールドに加盟している主要航空会社の就航都市を調べて、大体のルートを決めます。
カンタス航空、キャセイパシフィック航空、英国航空、フィンランド航空、アメリカン航空、ラン・チリ航空の時刻表とにらめっこです。
ヨーロッパは飛行機以外にユーレイルパスを購入します。それ以外に行きたい場所は個別に飛行機に乗ったり、船に乗ったりしたらいいのでヨーロッパは長めに滞在することにしました。
せっかくの世界一周なので、出来るだけたくさんの国に行くことと、将来住みたい場所を探す、ということを目的にしました。
大変だった発券手続き
大体のルートは決まったので、後は発券するのみです。
とりあえず、航空券を買うために、シドニーへ行きました。
シドニーまでは関空経由で今は無い(2002年に営業停止)、アンセット・オーストラリア航空で行きました。確か往復で9万円くらいでした。帰りの航空券は不要だったのですが、当時片道航空券というのは格安航空券では販売されていなかったので、とりあえず往復で購入しました。(結局、復路便は乗りませんでした。)
さて、シドニーに到着し、早速目星をつけていた旅行代理店に行きました。
滞在していたホテルの近くにあるSTA トラベルです。
どの旅行代理店で購入しても同じ料金だと知っていたので、ホテルから近くて、オフィスが明るくて綺麗で、スタッフがやさしそうな雰囲気のところを選びました。
STAトラベルに行って、「世界一周航空券を購入したいのですが」と感じが良さそうなお姉さんに伝えました。
まさか、この方、ランチも取れず、この後ほぼ1日私の航空券発券に付き合うことになるとは思っていなかったことでしょう。
お姉さんは、「了解よ。どの種類の世界一周航空券か決まっている?」と言いました。私は、ワンワールドの5大陸周遊タイプ(オセアニア、アジア、ヨーロッパ、北アメリカ、南アメリカを周遊し、それぞれ3箇所に滞在できる航空券)にすることを伝えました。
「じゃあ、まず、いつ、どこから出発して、どこに行くの?」と聞かれます。とりあえず、全便予約を入れないと、この航空券は購入出来ないということです。私は、出発予定日と、シドニーからまずパースに行くことを伝えます。
そうすると、お姉さんはパソコンでカチャカチャやって、空席状況を調べてくれます。「シドニーからパースは空席あるのでOKよ。さあ、次はオセアニア以外の場所ね。どこへ行くの?」
私は、次はアジア で、まずは東京、次に香港、シンガポールと回りたいことと、そしてそれぞれのフライト日程を伝えます。
お姉さんは、「了解よ、では空席を調べてみるわね。」といって調べてくれるのですが、希望の日程で空いていない場合もあり、なんだかんだとシンガポールまでの予約を入れるのに1時間以上かかっています。
お姉さんは、「これはなかなか大変ね。さて、次はどこへ?」と聞いてきます。私は、「シンガポールからはロンドンへ行きたい。それから、チューリッヒとヘルシンキにも行きたい。順番はどちらが先でも良いのだけど。」と伝えます。
お姉さんはちょっと調べてから、「それなら、ロンドンからまずはチューリッヒで、それからヘルシンキのほうが良さそうね。」と言います。
そもそも毎日希望のフライトがある訳でもないのです。
「シンガポールからロンドンへは、この週だと、○曜日と、○曜日が空いてるわ。どうする?」といったふうに、一つのフライトを予約するのにも、何度も調べてもらって、私が考えて返事して、と、時間がかかるのです。
それに、例えばロンドンからチューリッヒなどは逆に1日に複数便あるので、何時のフライトがあるのか教えてもらってから、ちょっと考えて決めて、空席を調べてもらうと空いてなくて、違う日にして、、と、どんどん時間ばかり過ぎて行きます。
旅行会社のお姉さんにバルバドス行きを提案される?!
多分、ヨーロッパを考えてるあたりでとっくに普段のお姉さんのランチ時間は終了していたはず。この頃から、なんだか早くしましょうよ、という雰囲気が漂ってきます。
さて、ヨーロッパの予約が完了し、次は北アメリカです。私は、「サンフランシスコと、タンパと、トリニダード・トバゴに行きたい。」と伝えます。
お姉さんは、私の「トリニダード・トバゴ」という発音が悪くて聞き取れなかったのか、「え?もう一回言って?」と聞きます。私が「トリニダード・トバゴ!」というと、「Oh! トリニダード・トベィゴォーね!」と言います。
その後、どこかに電話して何だかいろいろ聞いています。
30分以上は電話していたでしょうか。電話が終わり、お姉さんが言ったのは、「サンフランシスコと、タンパと、トリニダード・トバゴにはフライト数オーバーで行けないわ。カリブ海に行きたいなら、タンパから乗り換え無しで行ける場所か、南米に乗り換え無しでいける場所にしないといけないそうよ。他に行きたい島はないの?」と聞いてきます。(1大陸3箇所滞在できるというルール以外にも、乗り換え含めて何便までというルールがあるのです。)
そう突然言われても、カリブの島というと、私の頭はいつかテレビで見たトリニダード・トバゴしか思い当たらず困っていると、お姉さんは突然、「あなたバルバドスに行きなさい。私の友達が行って、良かったって行ってたわ。」と、なんと、提案してくるではありませんか。
「でも、バルバドスってどこにあって、どんなところかわからないし、、(とりあえず、置いてあった地図を見つめて、お姉さんの早く決めなさい、というオーラに負けて)カンクンにします!」と言っていました。
お姉さんは、「Oh! それはグッドチョイスね。空席を見てみるわ。」と調べてくれます。ここまでで既に4時間以上かかっていました。
なんとか、カンクンまでの予約が完了し、さて次は南アメリカです。南アメリカでは、サンチアゴと、イースター島と、ブエノスアイレスに行きたい、と伝えます。
こんな感じで、かれこれ5時間以上かかり、全行程の予約が完了しました。お姉さんは、「これで発券していいのね?クレジットカードで支払いかしら?」と聞いてきます。
なんとか、支払いも終わり、全ての航空券のチケットをもらうことが出来ました。
このSTAトラベルのお姉さんも、最後に、「素晴らしい旅行ができそうね。これだけ乗ってこの金額はアンビリーブルね。楽しんできてね!」と言ってくれました。
18万5千円で購入した世界一周航空券
これだけの行程で、全ての税金含めて約3000豪ドル(当時のレートで18万5千円)でした。本当に破格だと思います。
ですが、この発券手続きは本当に疲れました。今のように、ipadなどのタブレットを持っていたら、このルートはダメと言われても、自分ですぐに調べて他に行きたい場所も調べられますが、当時は頼りは地図のみ、という状況です。
まぁ、逆に、そのくらいのほうが行き当たりばったりで楽しいものかもしれませんが。
今は、この航空券もオンラインで自分で行き先を入力して発券できるようですので、自分のペースで考えながらできると思います。(逆に、全部自分で調べないといけないので、かなりのパワーが必要なのかもしれません。)
ワンワールド世界一周航空券のルート
参考までに、このワンワールドの世界一周航空券で回ったルートを載せておきます
- シドニー 〜 パース(カンタス航空)
- パース 〜 成田(カンタス航空)
- 成田 〜 香港(キャセイパシフィック航空)
- 香港 〜 シンガポール(キャセイパシフィック航空)
- シンガポール 〜 ロンドン(英国航空/カンタス航空共同運行便)
- ロンドン 〜 チューリッヒ(英国航空)
- チューリッヒ 〜 ヘルシンキ(フィンランド航空)
- ヘルシンキ 〜 ニューヨーク(フィンランド航空/アメリカン航空共同運行便)
- ニューヨーク 〜 サンフランシスコ(アメリカン航空)
- サンフランシスコ 〜 ダラス経由 〜 タンパ(アメリカン航空)
- タンパ 〜 ダラス経由 〜 カンクン(アメリカン航空)
- カンクン 〜 サンチアゴ(ラン・チリ航空)
- サンチアゴ 〜 イースター島(ラン・チリ航空)
- イースター島 〜 サンチアゴ(ラン・チリ航空)
- サンチアゴ 〜 ブエノスアイレス(ラン・チリ航空)
- ブエノスアイレス 〜 オークランド経由 〜 シドニー(カンタス航空)
ちなみに、シドニーから日本への帰国便は、シドニーの現地旅行代理店で、全日空便を約6万円で購入しました。